「ごめんね、私やっぱり帰る」 「え、なんだよそれ。どうしたんだよ」 いたたまれなくなってそう言った私に、小鳥遊くんが腰を落として目線の高さを合わせてきた。 狭い道で屈んでいるから、小鳥遊くんの腰に通る人たちが何度もぶつかる。 ああ、本当に私、だめだな。 小鳥遊くんにも、周りの人にも、迷惑かけまくり……。 けれど。 私の顔を覗き込むような小鳥遊くんの瞳は、予想と違っておろおろと困ったような色を浮かべていた。 あれ? 怒って、ない? その茶色い瞳が、ゆっくりと瞬きした。