10分で浴衣、着れるかな……。 もう普段着でもいいかな。 そんな考えの間を行ったり来たり。 気合いを入れるのは恥ずかしい、だけど私の乙女心は浴衣を着たがっている。 この矛盾はなんなんだろう。 好きになるのをやめられたら楽になるのにと思っても、やめられない。 少しでも可愛い私を見てほしいと、思ってしまう。 私は浴衣に袖を通し、前を合わせて紐でウエストを留めた。 「長さを……って、あれ? どうだったっけ」