聞きたく、なかったな。

小鳥遊くんの「金がいる」理由が彼女さんだったなんて。

違う、もう婚約者さんじゃん。


正直なところ、苦手なタイプの女子だ。

というか、嫌いかも。


彼氏にあれこれさせる子って、わがままというか。

もっと、小鳥遊くんのこと考えてくれている子ならよかったのに。


あんなバイト、バレたらどうなるか……。

そういうの、好きな人なら考えてあげたりしないのかな?


そんなことを思ったところで、小鳥遊くんがそれほどまでにこのワカナさんに夢中なら、私は諦めるしかない。


「わかり……、ました。気をつけます」
「よろしくね」


唇を噛んで、ポケットの中でスマホをギュっと強く握って、涙をこらえた。

想いを伝えてもいない恋が、終わった。


学園祭までの班行動が、辛いな。

そんなことを思った。