菜々美のコスメポーチを閉める音と足音が廊下に出た音を確かめてから、ゆっくり扉を開ける。 洗面台の蛇口をひねって、思いきり顔を近づけて水を浴びた。 頭の中の声を振り払いたくて、メークとか、前髪とか、そういうのもうどうでもいいと思った。 溢れて止まらない涙も、水しぶきで隠れてちょうどいい。 ひとしきり水を浴びたら、少しクールダウンできたみたい。 タオルハンカチであちこちにはねた水しぶきを拭きとっていたら、野崎さんが入ってきた。 タイミング……。