「その手は取れなかった」 「分かってる」 理由は明白だ。 「龍太がしている仕事の事、とても理解出来なくて……」 「だから来るなって言った?」 「うん……甘えちゃいそうな自分が嫌だったの。だって私が入院している間にも龍太は他の人と……」 そんな相手に甘えてはいけない。 一人で寂しかった筈なのに、心を少し開きかけていた詩織は再び、俺の前で気持ちを閉ざした。