【短】じっとできない



「そ。汰一の好きなやつってのは、朱里亜だけ。何回相談受けて、何百回惚気けられたか…」

「おい、やめろよ。まじで…」

徐々に熱を帯びる汰一の腕。
私は、その腕の力が更に緩んだのをいいことに、くるりと汰一の方を向く。


「ほんと?」

「……っ…。あぁ。ほんとだよ。好きで好きで堪んなかった。朱里亜は可愛いから、他の男を牽制すんの滅茶苦茶大変で…けど、朱里亜俺のこと幼馴染としてしか見てなかったろ?」

「見てたもん。……途中から、だけど」

「はいはい。イチャつくなら、俺のいないトコでしろよ。傷心の俺はここで消えるからさ」

「あっきー……」

「俺は何時だって朱里亜が好きだよ。だから、幸せになよな」


ぽんぽん

そう言って私の頭を軽く撫でると、あっきーは来た道の方向にぐるり背を向けて、去って行ってしまった。