映画館に入るとすぐに、ポップコーンやら飲み物を買って、観たい映画のスクリーンに入る。
席順はあっきーがネットで先に押さえておいてくれて、一番観やすい席だった。
なんだか、いたれりつくせりのこの環境が、昨日人生が終わりを告げたと言うくらい泣いたことを忘れてしまうほど、心地良かった。
それだけ、あっきーの優しさが身に染みて、はしゃぐあっきーを見る度に、今度は泣き笑いしたくなる。
あぁ…このまま、汰一のことなんか忘れてしまえたら…。
そんなことを考えそうになって軽く頭を振った。
今は、あっきーと一緒の時間をたっぷりとたのしみたい。
だから、汰一のことなんか1ミリも考えるのはよそう。
その時点でもう…汰一のことを考えているのは明白だったけれど、私はそれに知らないフリをして、映画に集中することにした。
でも…。
映画を見ている最中に、ふとあっきーの指先が私の手に触れて…咄嗟に逃げなかった隙をつくようにして、次の瞬間きゅーっと右手を握られた。
突然のことに、ドキドキする胸。
あっきーの方を見ようにも、ここは映画館の中で、動きに制限が出来てしまうからそれは叶わない。
周りに聞こえない小さな声で、あっきーに確認したら、握られてない方の指でしーっとジェスチャーをされた。



