【短】じっとできない



「朱里亜は、俺の大切な……幼馴染だから。秋成みたいなやつとは仲良くしないで」


大切な、幼馴染…。


タイセツナ、オサナナジミ……。


その言葉に心が凍る。

気付いたら、私は汰一を思い切りどんっと弾き飛ばしていて。


「朱里亜…?」

「…もう、子供じゃないの。幼馴染とか、ウザい。汰一のばか!」

そう叫んで、汰一のそばから逃げ出した。


ほんの少しでも、期待した自分がばかだった。

やっぱり汰一にとって私はただの幼馴染でしかなくて…。

この手で汰一を抱き締め返すことさえ許されなかった。



好きじゃないなら触れないで。
そんなことされたら、互いに傷付くだけなんだから……。


「……っ。ばかっ。汰一の…ばか……っ」


ぼろぼろこぼれる涙は、コンタクトレンズを揺るがして、もっと視界を悪くする。


私は誰も寄り付かない、理科準備室の暗幕の中で、暫く泣き尽くした…。