【短】じっとできない


「汰一、汰一、ね、どうしたの?」


イライラを募らせているらしい汰一の横になんとか並びながら、そう言うと汰一は急に困ったような顔をして、そこに立ち止まった。


「汰一…?」

「いつから…?」

「…は?」

「いつから秋成とあんな仲良くなってんの?」

ぎゅっと握られた手。
ドキドキする心臓の音。
そして…耳を掠める汰一のハスキーな声。

気付いたらすっぽりと汰一の腕の中にいて、鼻孔をくすぐる汰一の香りに溺れそうになる。


「なんで、朱里亜はココにいてくんないの…?」

「汰一………?」


その声はなんだか泣いているようにも聞こえて、慌てて汰一の顔を伺おうとするも、片手で両目を隠されそれを制された。


「汰一…?」

「無理。今顔めっちゃ変だから」

「でも見たい」

「だめ」


その代わりと言わんばかりにきゅーっと抱き締められて、胸が高鳴る。


けれど、次の瞬間その高鳴りは粉々に砕かれた。