暗黒王子と危ない夜【final】


「1時間以内には帰ってこいよー」


ひらひらと手を振る三成と、中島くんには見向きもせず黙って飲み物をすする本多くん。


悪寒がするって……大丈夫なのかな。

それに席を立つ前の中島くんは、少し思い詰めてるようにも見えた。

あたしとの関係を誤解された件は関係ないって言ってたけど、本当に……?


「心配する必要ないよ。相沢さんが関係ないってのは本当だと思う」


心を読んだかのように本多くんが口を開いた。


「……そうだといいんだけど」

「彼女を連れて行きたくないって気持ちはおれもわかるし」

「え?」

「会わせたくないんじゃなくて知られたくないんだよ、たぶんね」



そう言って、どこか遠くを見るような目をする。

また……だ。

本多くんの瞳はときどきあたしとは違う世界を映している。

今こうして、こんなに近くにいることも、あたしたちの距離を測る当てにはならない。


手を伸ばしたら、そのまますり抜けてしまうんじゃないか。
ありえもしないことを、どこか本気で考えてしまう。