「こらこら大志
ワシもこの孫に命を救ってもらったんだよ
そこからお父さんとこの娘が
偶然出会うことになったんだ
この孫が居なかったらもしかしたら
今頃はあの世に行ってたかも知れないんだよ」


「それはそれ!これはこれ!
なんか複雑すぎて頭がおかしくなっちゃうよ」


大志くんの気持ちもわからなくないが
母さんは浮気相手じゃない
心底愛し合っていたのに
引き裂いたのはこのおじいさん。


そしてこのお母様も母さんに
電話をしてきて母さんを追い詰めた。


母さんは何も悪くない!


「愛華帰ろう」
雅人さんがいきなり席を立った。


「川相先生お招き頂いたのに
こうして帰ることになって申し訳ないですけど
愛華の気持ちになると
ここに座ってお茶を頂く気にはなりません」


「雅人くん待って!
こら!大志!さっきから聞いてると
失礼なことばかり言ってるだろ
この前はちゃんと話して
分かってくれたんじゃないのか?
複雑だと言う君らの気持ちもわかるよ?
だけど事実を認めるって言ってくれたから
会わせる事にしたのに今更なんてこと言うんだ」


「母さんの気持ちになると複雑なんだよ
母さん昔よく泣いてたんだ
オレはこっそり見てたから
それって母さんはその頃から父さんが
浮気してたのを知ってるわけだろ?
病院病院って病院のせいにして
隠し子のいる家に行ってたんだろ!」


「それはない!
うちの母さんはあたしが産まれてから
ううん産まれる前からもう関係はない!
しかも認知して欲しいとかも言ってないし
ただあたしが小学生になる頃まで
誕生日に会ってただけだと言ってた」


勢いで早口で私は言った。