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私の状態が落ち着いてきた頃、お父さんは「そういえば」と、何かを思い出したように立ち上がった。そして、部屋の片隅にある机の上に置いていた物を持って戻ってきた。それは白い封筒だった。

「サユを届けてくれた人からだよ。サユが目覚めたら渡してくれって。」

そう言ってお父さんは私にそれを渡した。

「それにしてもキョウマの奴…あいつは何を考えているんだ…カラオケボックスで妹を気絶させた上に路上に放置したのか…?!たまたまサユの知り合いの人が通り掛かったから良かったものの…」

お父さんが怒りに満ちた表情で言った。

私は意識を失った後路上に放置されたんだ…
でも何の為に…?いや、考えるのはよそう。あの男の事だ。きっと何かおぞましい事を考えていたに違いない。でも、一つわからないことがある。

「ねえお父さん。その知り合いの人ってどんな人だった?」

私の知り合いは私と同い年など同世代しかいない。つまり、私を運んでこれるような人は知り合いにはいないのだ。

「ああ、20代前半くらいかな…それくらいの女の人だったよ。名前は確か…ハナヤマさん…だっけな?」

やっぱり知らない人だ…でも、知らない人がどうしてたまたま道端で見つけた人間にこんな物…
私は恐る恐る封筒を開けた。中に入っていたのは一枚の便箋。その真ん中辺りに小さな可愛らしい字でこう書いてあった。

『一ノ瀬咲夢様

はじめまして。週刊星月の花山と申します。お兄様についてお話したく、お手紙書かせて頂きました。お時間よろしい時に下記電話番号へご連絡下さい。

×××-××××-××××』