皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

その日の夜、私はひとりで震える子ウサギのようだと、自分でも思った。



殿下に唇を落とされた頬が、いつまでも熱を持っていて。



顔の熱も冷めない。



だけど、きっと誰か殺しそうな顔でやってくるに違いないのだ。



怖い、怖い、怖すぎる…。



「どうしたんですか?レッスンが終わってからおかしいですよ?お布団なんて頭から被って…」

「ヒナ、今日の私、体調ふりょ」



言いかけた所で聞こえたノック。



来た、魔王が‼︎



「はーい‼︎あっ、殿下‼︎では、私は失礼します。隣のお部屋にいますのでー‼︎」



行かないで、ヒナっ‼︎



ヒナと入れ替わりでやってきた殿下の顔が、全く見れない。



絶対殺される…。



プルプルと震える私。



「どうしたのかな、私の可愛い奥さんは」

「ひっ‼︎」



空いた布団の隙間から顔を出した殿下のにこやかなこと。



最高に…楽しそう…。