皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

頭を抱えた殿下が立ち上がり、ジェードさんについて行く。



「おい…」



そう言って振り返った殿下の目は、殺人鬼も真っ青。



こ、怖すぎるっ…。



と、思えば花が咲いたように笑った。



「夜にまた来るよ。隅々まで洗って待っていて欲しいな。愛しい私の奥さん」

「は…?」

「君と離れると、私の心に穴が空いたようなのだ…。ハァ…夜が待ち遠しい…」

「で、殿下…」

「そうだ、服は着なくていいからね。脱がす暇さえ惜しい。それでは行ってくるよ、私の妖精さん」



固まる私の頬にチュッとキスを落とし、ドアが閉まった。



な、なに、今の…。



最上級に怒らせてしまった…?



あま、甘い殿下…嫌いじゃないかもしれない…。



あんな悩ましげな顔であんな歯の浮くような台詞の連続は…卑怯すぎますよっ‼︎



ヘナヘナと、床にしゃがみ込んだ。



あれは魔物よっ‼︎



あんな二面性、必要ないからっ‼︎