皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

俺は街の警備隊に入り、俺を知っている者はいない。



名前も偽り、グレンと名乗って。



出身も、他国とし、警備隊長しか知らない本当のことは極秘扱い。



髪と瞳の色が同じの世の中で、金髪にグリーンの目では魔力が高いことがバレると面倒なのでグリーンのカツラを着用。



下っ端隊員として街の平和を守る。



「おはよう、グレン。今日もご苦労様ね」

「おはよう、ハンナさん。変わったことは?この前因縁つけたきた男はもう来てないですか?」

「あぁ、平和だよー。あっ、これ持って行きな。お裾分け」

「これは…?」

「知らないのかい?ヤシの実ピーチだよ。少し穴を開けて中を飲むんだ。美味しいよー」



街の人は貴族と違い、裏表がない感じがする。



誰も俺を『皇子』と言わずに偽の名前を呼ぶ。



分けられた食べ物に毒なんか入っていないのだ。



下町はとても好きになった。



なのに、急な昇進で王都の警備隊に入り、貴族や金持ちの汚い場面に触れると、やっぱり人は信用できないと思う。