皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

薄暗い部屋のベッドを覗くと、そこには何もなく。



ドアが開いていて、庭に出て立ち尽くしているアリスがいた。



何をしているのだ…?



夜空を見上げて、ふふっと笑って。



気味が悪い。



だけど、月明かりに透ける紫の長い髪はとてもキラキラしていた。



「アリス」



声をかけると、振り返ったアリスは表情を強張らせる。



あの日、あの、リタに剣を向けた日から、アリスは俺にとても怯えているのだ。



それがわかるから、会いたくなかった。



俺が怖がらせているとわかっているし、あの時の対応を後悔はしていない。



だけど、アリスは俺をとても恐れている。



「こ、来ないと思っていました」

「何をしていた?」

「流れ星がたくさん‼︎流れる日のようで…」

「見つけたか?」

「はい、3つも」



あの笑いは流れ星か。



空を見上げる余裕なんて、俺にはないな。



目の前の仕事を終わらせるので精一杯だ。