皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

ルイと仕事に励み、父上の膨大な仕事量にヘトヘトになる。



こんなことを何年もやり続けたのか、父上は…。



そりゃあ、旅にも出たくなる…。



「そろそろお休みになられたらいかがです?」

「そうする…。終わりが見えん…」

「後宮へ向かいますか?」

「んー…、アリスは寝たのだろうか」



頭を洗ってもらいたい。



あの目の上のタオルは、本当に気持ちが良かった…。



治りかけの指を見つめ、しばらく会ってないことに気がついた。



「後宮へ行く」

「かしこまりました」



堅苦しい服を、早く脱ぎたい。



厳重な警備の後宮で、中に入れる男は俺と宰相。



入らないとは思うが、父上の3人だけ。



浮気防止らしいけど。



部屋の前には女兵士が交代でいるのだ。



アリスの部屋をノックすると、何も聞こえなかった。



やはり、寝ているのか…。



少しの期待は脆くも崩れ去り、静かに中に入った。