皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

泣きそう…。



私はこんなに泣き虫だっただろうか。



ここへ来てから、何度も涙を我慢している。



絶対、殿下のせい…。



「アリス」

「は、はい…」

「ご苦労」

「えっ…?」

「宰相に、なぜ真実を言わなかったのかと問い詰めたら、『あなたがキレそうなので』と言われた。まぁ、当たっていたな…。俺もまだまだだ…」

「セレスティーナ様は…どうなりますか…?」

「それは俺が決めることではない。宰相や陛下の判断に任せる。セレスティーナが処罰されようと、俺には止めることはできない。それに、どうでもいい」



そんな…。



殿下は、人として何かが欠けている…。



なにか大事なものが。



「殿下は…誰かを好きになったことはないのですか…?」

「ない。友人や家族、幼い頃からそばに居た者。それ以外に何があっても、何も感じない。どうせ、相手にもそう思われているのだから、思う必要もない」

「そうですよね…。私は家族にも、そんな気持ちにはなれないかもしれない…」

「なぜだ?不自由なく暮らしていたのだろう?」

「見せかけだけです。誰も私の言葉を聞こうとしなかった。父の言葉に、従うだけの存在で、周りも満足していたのだと思います」



だから、私の言葉を…誰かに聞いてほしい…。