皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

あまり食欲が湧かず、夕飯を残した。



お風呂の準備をして、ただ殿下を待つ。



しばらくしてから開いたドアから入ってきた殿下は、やっぱり怒っているように見えた。



「…………」

「お待ちしておりました…」

「ハァ…」

「お風呂、ですよね…」

「あぁ」



いつも通り、殿下が先に入って、湯船の縁に頭を乗せている。



目を閉じて、眉間にシワを寄せて。



「失礼します…」

「なんだ、これは…」

「お顔にお湯が流れないように、考えた末の策です」

「気持ちいい…」



目の上に乗せたホットタオル。



少しでも、殿下の苛立ちが治まればいいのだけれど…。



いつも通り、髪を洗って、私も湯船に入る。



目の上のタオルを取った殿下は、それをポイッとその辺に放り投げた。



目が、見れない…。



怖くて下を向いてしまう…。



殿下の言葉を待っているのに、なにも話してくれない…。