皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

剣を収めた殿下にホッとする。



まだ手の震えが止まらない…。



「アリス、風呂の準備をして待っていろ」

「かしこまり、ました…」



それだけ言って、後宮から出て行った。



残された私とリタ様は、しばらく無言。



お互い、落ち着く時間が必要だった。



「アリス様…」

「はい…」

「ありがとうございました。庇っていただいて、嬉しっ…かったですっ…」

「泣かないで、リタ様…。私も怖かったので…」

「怖かっ…たぁ…」



号泣したリタ様を、しばらく慰めた。



またお茶をしましょうと、それぞれ部屋に戻る。



セレスティーナ様はどうなるのだろう。



子どもがいたらと言っていたということは…殿下は本気でセレスティーナ様を正妃にするつもりだったのだろうか。



もしかして、殿下はセレスティーナ様のことを…。



『妻なんかお飾り』と言い放った殿下に、ズキッと胸が痛む。



私は…父の人形ではなく、殿下の人形になってしまうのね…。