皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

怖くて、涙が出そう。



確かに、リタ様がしたのは殿下の身を脅かす行為だ。



だけど、ここまでしなくてもいい。



それをしてしまえば、私はあなたを一生受け入れられなくなる。



「少なくとも、私は…殿下がそんなことをする姿を…見たくありません…」

「…………そうか。ではリタ、お前の罪はどう償う」



恐怖に震えるリタ様からは、涙が流れていた。



ここは…殿下のためだけに作られた…牢獄なのね。



やっとわかった。



私はここへ来ても、きっと人形のまま。



変わったところで、なにも変わらないのよ…。



「誠心誠意…殿下に…お使えいたします…」

「その言葉、違えた時に待つものは死だ。己の領分を履き違えるなよ。二度はない」



リタ様は、それしか言えなかったのだろう。



死ぬのも怖いし、皇族に嫁いだのに家に帰されたなんて、笑い話にもならない。



自分を守ることで、精一杯なのだから。