着替えてから部屋に戻ると、水が用意されていた。



「大丈夫だ。俺が飲んで確かめた」

「えっ、殿下が毒味を…?なんて事するのですかっ‼︎何かあったらどうすればいいか…」



昨日の殿下のように、すぐに対処できない…。



差し出された水を飲むと、殿下の言った通り、大丈夫だった。



無言の圧力かけられた…。



「怖くないか…?」

「怖いです。口にするもの、全てが怖い…」

「冷めた食事しかできなくなるが、全てのものに確認作業を付け加える。毒を見分ける魔導士がいるから、頼んでおく」

「ありがとう、ございます…」



ポタっと涙がこぼれ落ちてしまった。



泣くつもりなんかなかったのに。



殿下が珍しく優しい言葉なんかかけるから…。



「この先のお前の行動、見せてもらうぞ」

「はいっ‼︎」



ポンっと頭に乗った手。



大きくて、暖かい。



皇后様が言っていた『根は優しい』ってやつかしら。



本当は、優しいのかもしれない。