皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

お前の国、ここじゃないのに…。



サミールはリッカー国という農業と漁業が盛んな、とても暑い国の王子。



父上と母上が、リッカー国の王夫婦と親しくしている。



何度もリッカーに行ったことがあるし、サミールもこの国へ何度も遊びに来ている。



たまに手紙でやりとりをする関係で、俺の周りには存在しない、唯一の友達かもしれない。



他にもいたな、信用できるヤツ。



「なぜここに?」

「今日からここに通うから。デカイ国で修行してこいと、父上に国を追い出された‼︎」



ニカっと笑うと、白い歯が見える。



昔からサミールは、太陽のように笑うのだ。



「あの、どちら様か存じ上げませんが、皇子殿下に対して礼儀がなってないのでは?」



そんなことを言ってしまうバカな令嬢。



お前が今意見したのは一国の王子だぞ。



「リッカー国の王子に対し、お前の方が失礼だと思うが。自分の家族を露頭に迷わすつもりか」

「王っ子…。もももも、申し訳ありませんっ‼︎」



黙ってろ。