皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

夜になり、やってきた殿下の右手の指には包帯が巻かれている。



てっきり、皇后様に治していただいたのかと思っていたのに…。



「大丈夫のようだな」

「ありがとうございました。それと、噛んでしまって、すみませんでした…」

「噛むなと言う方が無理があっただろう?俺も何度か経験がある。口を開けろと言われても開けられなかったしな」

「何度かって…」

「それより、お前はどうしたい」

「どう、とは?」

「家に帰りたいならば、帰してやる。嫁ぎ先を斡旋してもいい」

「それは…私が不要と言うことですか…」

「そうではない。お前の意思を聞きたいと言っている」

「私の、意思は…殿下の正妃になりたいです。それが、私の望みです」

「なっ⁉︎俺のせいで死にかけたのだぞ‼︎」

「皇后様のように、ちゃんとした強い女になりたいのです。だから、私はあなたの隣、正妃のイスを自分の力で勝ち取りたいのです」



目が丸くなった殿下の顔を、初めて見た。