皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

そう思っていたら、ドアが開いてとても美しい人が現れた。



「皇后様っ‼︎」



えっ?



この方が…皇后様?



陛下の正妃で、殿下のお母様…。



慌ててベッドから降りて、膝をついた。



「ダメよ、寝てなきゃ」

「ですがっゴホっ…」

「ベッドへお戻りなさい」



動揺しながらベッドへ戻ると、横になるように言われた。



珍しい茶色い髪と茶色い瞳。



独身女性だと言われたら信じてしまう程の若さ。



「大変でしたね」



頷けば、ニコリと笑う。



妖精なのではないかと思う。



「リュークがあなたを治して欲しいと、珍しくお願いしてきたの」

「殿下、が…」

「話さなくていいわ。今治すから」



手を握られると、とても暖かい何かに包まれた気がした。



熱が、引いていく。



心地のいい光…。



「どう?声は出る?」

「あっ、戻りました…」

「よかった。私はキャサリン。フィンリュークの母よ」

「お初にお目にかかります。アリスと申します。皇后様のお手を煩わせてしまい、申し訳ありません…」



優しそうなお方…。