皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

ザバッと立ち上がった殿下が、私を湯船に落とした。



「イライラする。戻る」



お互いに、着替えて、先に殿下が戻った私の部屋に入ると、小さなお庭に出れる扉が開いていた。



近づけば、煙を纏う殿下の姿。



タバコ、吸うのね、殿下って。



吸い終わった物を消して、部屋に入ると、煙の匂いがする。



「お気に触るようなことを、言ってしまいましたか…?」

「お前には欲はないのか?」

「欲、ですか…?」

「見ていて腹が立つ。自分の意思もなく、操られるだけの人生なんて、楽しくもなんともない」

「そう、ですかね…」

「欲しいもののひとつくらい、自分で考えてみろ」



私が欲しいもの…。



そう言われても、与えられたもので満足していた私には、欲しいものが見つけられないのだ。



「殿下は、なにが欲しいですか…?」

「お前に言ったところで、それは手に入るようなものではない。だから教えない」

「それならばお互い様じゃないですか…」

「どこがだ」



喉が乾いて、ふたつのグラスに水を注いで飲んだ。