皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

女は嫌いだ。



俺の顔色を伺い、媚を打って取り入ろうと必死。



この学校が制服でよかったと思うのは、私服ならば毎日が舞踏会になってしまうと思うから。



「ふぅ…」



勝手に出たため息。



学校へ来てから何人に話しかけられたかわからないが、俺はまだ一言も発してない。



毎日女に囲まれ、イライラする。



俺はお前たちの名前すら覚えていないのだぞ。



毒の件もあり、イライラが治らずに…。



「うるさい、黙れ」



と、言ってしまった。



その瞬間、ピシッと凍った教室内の空気。



静かになったなら、それでいい。



宿題を見直そうと鞄からノートを取り出した。



全員が俺を見ているのは気づいている。



だからなんだ。



お前たち、鬱陶しいからさっさとどっかに行け。



その時だった。



「おっ‼︎いたいたっ‼︎リューク‼︎」



聞こえるはずのない声に振り返る。



そこにいたのは、小麦色の肌に銀色の髪。



耳には輪っかのピアスと、首に入っているタトゥー。



「サミール…?」

「よぉ‼︎久しぶり‼︎」



遠くに住む幼なじみのような存在が、目の前に現れた。