皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

一緒に過ごす時間が少ないせいか、最近やたらとときめいてしまう…。



「アリス」



カツカツっと音を立てて、リュークが目の前に立った。



私の手を取り、チュッと口付ける。



「キレイだ」

「リュークも、その…カッコいい…です…」

「今更照れるなよ」

「だってぇ…」



お、おねだりしなきゃ…。



なんで言えばいいの⁉︎



「ちょーーーー可愛い、ローラ‼︎」

「それはどうも。レオも黙ってれば皇族に見えるのねぇ」

「なにそれ、酷いっ‼︎」



ど、どうやって…おねだり…。



顔を上げれば、溶けそうなほどの笑みを向けられる始末。



これはアレだ‼︎



外用のリュークだ‼︎



人前でやたらデレデレするヤツ‼︎



「りゅ、リューク…?」

「ん?」

「貴族の方がいらっしゃるから、ですか…?」

「そうそう。私は妻にベタ惚れ中だと見せつけておけば、側妃にしろなんて言われなくなるのだよ、我が愛しの姫君」



お、おねだりっ、できないよぉ‼︎