皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

誘拐されても、笑っていられる強さは感心するのだ。



「正妃様自らこんなむさ苦しい場所に…。すみません、助かります」

「むさ苦しい…というか、お花を飾ったらいいかと思います」

「花、ですか…?」

「あっ‼︎すぐに戻るのでこれ、お願いします‼︎陛下にお届けしなきゃいけない書類なので、護衛、お願いします‼︎」



書類の護衛なんて初めてだ…。



ポカーンとする、同じ部屋にいる若い騎士。



騎士の間でも、アリス様の美しさは噂の的で。



高嶺の花に憧れる者、あの殿下との営みを想像するアホまでいる。



「い、いい匂いがする…」

「…………確かに」



甘い香りを残し、立ち去ったアリス様は、戻った時には両手に花瓶と生けられた花を持っていた。



どこから取ってきたのだろう…。



「これ、温室のお花なのですが、リラックス効果があるらしいのですよ‼︎いつもピリピリしてるリュークが、ご迷惑をかけていると思うので…」

「そんなことは…」



あるな。



かなり恐れられる存在だ。