それを持ってリュークのところへ行くと、疲れた顔が一気に笑顔に変わった。



「ヒナから教えてもらったのですが」

「懐かしい。母上がよく作ってくれた」

「味の保証はないですよ?皇后様のようにおいしくは作れないと思うので…」

「ん、うまい。ほら、食ってみろ」



あっ、おいしい。



香ばしくて、中はフワフワ。



「ジェードさんもどうぞ?」

「いえ、私はやることがありますので。殿下のものを取ったら機嫌が悪くなりそうですし」

「そんなこと…」

「殿下、契約に行ってまいりますので、終わり次第戻ります」



なんの契約かと思って不思議な顔をしていたら、リュークが嬉しそうに教えてくれた。



土地と建物の所有権だそうで。



リュークがジェードさんに家を買い与えたと。



「なぜ急に⁉︎」

「ミアと住むためだろう」

「へっ…?」

「珍しく、ジェードが俺に相談したのだ。あの時の気まずそうな顔、アリスにも見せたかったな」

「それで、ミアは…」

「知らないと言っていたぞ?まずは地盤を固めてからとか思ってるのだろう。クソ真面目だからな、ジェードは」



なーんだ。