皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

それはお互いわかっているわけだ。



「俺が買ってやる」

「は、い?」

「ここからすぐとなると、そこそこの値段になるし、ジェードが住む家なら、立派なものがいい」

「いえ、そんなっ‼︎」

「欲しいのだろう?」

「欲しい、のですかね…?」

「はははっ、なんだそれ」

「お気になさらずに…。あっ、会議中の殿下の発言、陛下の怒りをわざと煽ってませんか?ヒヤヒヤするのでやめてくださいね」

「結局小言かよ…」



その後にレオナルド様が仕事の話で駆け込んできて、結局ミアに弁解するヒマがなくなってしまった。



そのまま数日…。



城ですれ違ったミアは目を合わせずに頭を下げて。



もう、ダメかもしれないと思った。



「ジェード」

「はい、殿下」

「ここ、買ったから。ルイの別邸で、ほとんど使ってないって言うし。気に入らないのなら他の物にするが」

「なにを、言ってるのですか…?」

「欲しかったのだろう?自分の家が」

「殿下っ‼︎やりすぎですっ‼︎」

「俺の個人的な資産をどう使おうと、俺の勝手ではないか?日頃の礼だ。受け取れ、ジェード」



殿下が私のために家を買った。