どれも腹黒くて、どれも同じだ。



やっぱり、父と母が望むような淡い期待はするだけ無駄だと思う。



今日も仕事が終われば後宮へ。



「殿下っ‼︎」

「お風呂に入ったのだね。顔が赤い」

「お出迎えに間に合ってよかったです。初めて大きな湯殿につかってきました」

「あぁ、そういうものがあると聞いていたけど、今度見てみたいな」



疲れる。



女に対して優しくするのは背中が痒い。



「お酒でも召し上がりますか?」

「あぁ、もらおうかな」



酒を飲みながら、話をする。



お淑やかで、美人で。



「セレスティーナ、君は私を殺したいと思う?」

「なぜですか⁉︎そんなこと思うわけありません‼︎」

「ははっ、くだらないことを聞いたね。すまない」



アリスは俺を殺したいと言っていたな。



髪で絞め殺すって。



面白いことを言うやつだ。



それに、とても怯えていた。



セレスティーナは、全く怯える素振りもなく、俺の演技に完全に騙されているようだし。



コイツでいいか、正妃にするの。