皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

学ぶことは好きだが、どちらかと言えば国政に関わって現場で学びたい。



なのに、父がそれを許さずに、しかたなく学校は通っている。



「おはようございます、皇子殿下」

「皇子殿下、おはようございます」



学校に行っても、俺の周りには俺の名前を呼ぶ者もいない。



俺は『フィンリューク』ではなく『皇子』なのだ。



「皇子殿下、おはようございます。今日も良い天気でございますね」

「本当ですわ。殿下、お昼、ご一緒しませんか?」



鬱陶しい女に囲まれる日々。



俺が何も話さなくても勝手に喋っているのだから笑える。



親に俺を落としてこいとでも言われているんだろう。



俺の機嫌を取ろうと、俺とお近づきになろうと必死の腹黒い女たち。



爵位を持つ者の子どもがほとんどのこの学校で、俺に近づくのは父親が偉い立場にいるヤツ。



『あなた、伯爵の娘ですわよね?殿下にお声をかけるなんて図々しいわよ』と、伯爵令嬢が公爵令嬢に言われているのを見た。