皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

奪われた腕、鋭い瞳。



ベッドに押し付けられた体。



優しくないっ‼︎



やっぱり、殿下はあの目が本物なんだ‼︎



怖くて、体が震える。



ここで拒否してしまったら、私はここを追い出されてしまう?



父に迷惑がかかってしまう?



「殿下っ‼︎」

「なぁに?」



ニコッと笑う口元と、全く笑っていない目。



怖い、怖い、怖い。



「今日っ、ヒナがオイルマッサージしてくれたのでっ‼︎ツルツルピカピカですっから‼︎」

「へっ⁉︎」

「逃げたらっ、ダメなのですよねっ⁉︎」

「逃げ、たいの?」

「そんなことないですっ‼︎どうぞお好きになさってくださいっ‼︎」



目をギュッと閉じる。



シュルっと解かれた胸元のリボン。



私はこの人の妻なのだから。



耐えなければ…。



「アリス、目を開けてごらん」

「は、はいっ…」

「お前は何に怯えている」

「えっ…?」

「終始、恐れていることが伝わってくる。何が怖いのだと、聞いている」



低く、冷たい声。



笑っていない口元とと、その鋭い瞳がやっと一緒になった気がした。