大きな箱のようなものに閉じ込められている…。



腕が痛いのは、両手をキツく縛られているせい。



どうにかしないとと思っても、魔力が使えない…。



魔力が封じられているんだ…。



あっ、こんな時の対処法…。



『ないとは思いますが、もし、誘拐されたり、どこかへ監禁されたら、とにかく大人しくしておいてください』



結婚式からすぐのこと。



ジェードさんに正妃としての仕事や役割を聞いた時に、そう言っていた。



うん、静かにしておかなきゃ…。



『あなたの命が第一です。あとは私や殿下の仕事。お任せください』



信じる。



私はリュークとジェードさんを信じる。



とにかく静かにしていたけれど、同じ体制で体が痛い。



「追ってこないな」

「楽な仕事だぜ」

「この荷物を送り届ければ、俺たちは金持ちだ」

「なぁ、少し味見する?」

「やめとけ。次の皇后だぞ」

「だけどよぉ、こんな上物、なかなかお目にかかれねぇぜ?」



私…静かにしていていいのかしら…。