皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

しばらくないだろうと思っていたら、昨日に続き、今日も殿下は私の元へやって来た。



「飲むのですか?」

「もらおうかな」

「今用意しますね。あっ、どちらのお酒がよろしいですか?」

「今日は私がやるよ。朝から呼び出してしまったお詫びも兼ねてね」

「しかし殿下の手を煩わせるなど…」



何も言わずにニコッと笑った殿下は、棚からグラスを二つ取り出して、甘いお酒をグラスに注いだ。



私も飲むの…?



「乾杯」

「いただきます」



甘いけど、辛いお酒は喉を熱くする。



パーティーで飲むことはよくあったけど、強くないカクテルのようなものばかりだったから。



「慣れません、この熱さ…」

「アリスはいくつ?」

「17です」

「そうか。学校は行かなかったのかい?」

「家で家庭教師に」

「そっか。趣味は?」

「趣味…」



自分のことを話せない。



だって、私には何もないのだから。



やらされていたことは、うまくても趣味じゃない。