【フィンリューク】



ジェードって、すごいと思う。



「早く吐け」

「うっ…」

「聞こえないんだが」

「…………」

「おい、何寝てるんだ」



意識のない相手に対し、容赦なく靴のまま蹴り飛ばす。



喋らないと言うより、喋れないのではないだろうか…。



両手に魔力を吸収する石がついた手錠、鎖に繋がれた足。



原形がわからない顔を髪を掴んで上にあげる。



「言えば痛みから解放されるのに」

「いっ…」

「死なないギリギリってのが難しいのだ。手間をかけさせるな、クソが」



初めて見たジェードの拷問シーン。



これがあのジェードかと思うと、味方でよかったと心から思う。



「どうします?殿下」

「…………俺に任せてくれ。ジェードは父上に報告して、騎士団からの報告書でもまとめておいてほしい」

「わかりました。殺さないでくださいよ?あっ、でも他にも捕らえている者がいるから別にいいですけどね」



ハンカチで手を拭いたジェードが、部屋から出て行った。