皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

私が感じたことは、ひたすら『怖い』のだ。



「えっと、あの…城内での噂では…怖い方ですね…」

「ですよね」

「なので、聞いていた殿下と先ほどの殿下の違いにびっくりいたしました」

「そうなのですか?」

「あんなに優しい方だなんて、本当にびっくりです」



優しい?



あなたはあの目が怖くないの…?



どう考えても笑っていないの。



あの言葉たちは私にうそをついている。



でも、そんなこと考えたところで関係ない。



私は殿下の機嫌を損ねないようにするだけ。



「アリス様、本日はいかがしますか?」

「本でも読みます」

「かしこまりました」



推理小説を何冊か持ってきていて、それがもう全部読み終わりそう。



またヒマになってしまう…。



他の方はどうやって過ごしているのかしら…。



もう少し持ってくればよかった…。



他のことをして過ごさなければならないかしら…。