皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

バタバタと足音が聞こえ、診療室にアリスが飛び込んで来た。



「リュークっ‼︎」

「アリス…」

「えっ、なんで…お腹が凍ってるの…?」

「いや、大したことはない。止血をしただけだ」

「ふ、ふざけないでっ‼︎真っ赤じゃないっ‼︎早く殿下の治療を‼︎」



怒られた…。



魔導師にベッドに寝るように言われ、傷の確認のために魔法を解除。



「いっ…つぅ…」

「殿下、覚悟なさってください」

「そこまで、ひどいか?」

「はい」

「わかった。とにかく、母上が目覚めるまで…生かしておいてくれ…」

「最善を尽くします」

「アリス…心配するなよ…」



城に帰った安心感か、そのまま意識が途絶えた。



痛い。



夢の中でも、痛い。



熱いし、息が苦しい。



「うっ…」

「リューク、リューク‼︎」

「んぁぁぁ…」



痛い。



目が開かない。



死ぬ時って、こんなに痛いのか。



できれば、アリスとの子どもの顔が見たかった…。



ごめんな、アリス。



何もしてやれなかったな…。