【フィンリューク】



父上に知らせなければと、力を使おうと思ったのに、魔力が足りずに、殴り書きのような書簡を父上に飛ばすだけで精一杯だった。



頼む、届いてくれ。



「殿下っ‼︎」

「くっ…。街は…どんな様子だ?」

「街のものではない、雇われた賊のようなものが起こしたことだと」

「火の周りが早いな…。水の魔法が使える者は消火に徹してくれ。私はこのまま街に出る」

「刺されたのですよ⁉︎」

「ジェードがいないのならば、戦うのは俺とファーガスの役目ではないのか?」

「魔力はあるのですか‼︎賊はほとんど取り押さえているのです‼︎これ以上のムリは死にますよ‼︎」

「黙れっ‼︎民を守れず、何が皇子だっ‼︎」

「その民を守って受けた傷でしょう‼︎あなたが死んだら、帝国の未来はどうするのですか‼︎まずは止血をしますから‼︎」

「これでいい」



傷口を氷で覆う。



よし、俺はまだ動ける。



「魔力がなければ体力がある」

「バカかお前は」

「父、上っ…。母上…」



目の前に現れた、父と母、それと宰相のアレン。