皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

【アリス】



混乱する。



殿下がわからなすぎて。



向けられる笑顔と、目の鋭さがどうにも一致しないのだ。



それに、とてもとても…甘いことをする。



「ん、甘い」

「お嫌いですか?甘いもの」

「嫌いではないよ。飴なんて何年ぶりに口にしたかわからないけど」



口は笑っているのに、目が笑っていないの。



私はこの目が、とても怖い。



「ねぇ、アリス…」

「はい?」

「頭にバッタがついてるのだけど取ってもいいのかな?」

「バッタっ⁉︎や、ヤダっ‼︎」

「ペットではないのかな?」

「お、お願いだから取ってくださいっ‼︎」



そんな冗談はいりませんからっ‼︎



とてもとても、虫が嫌いだ。



そういうものに触れさせてもらえなかったから、余計怖い。



「本当に取っても?」

「で、殿下っ…意地悪っ‼︎」

「ははっ、ごめんごめん」



殿下が手を伸ばすと、ピョンとバッタが逃げて行った。



虫、怖い…。