皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

離れがたくなる。



行きたくない。



父上が城を開けられないので、俺が行くしかないことはわかっているのに。



「気をつけてくださいね…?」



悲しいのではなく、心配だったのか。



それはそれで嬉しいと感じるのに、やっぱり切ない気持ちになる。



「すぐに戻る…」

「無事の帰りを待っています…」



顔を手で包み、触れるだけのキスをした。



こんな気持ちになるなんて、不思議な感覚だ…。



自然にキスしたり、こうして抱きしめたり。



アリスに出会わなければ、俺はこんな行動すらしなかったのだろうな。



「失礼し…」



部屋にやってきたヒナに、手で合図を送れば黙って出て行った。



顔を上げないアリスをしばらく抱きしめていたら、次の瞬間は笑顔だった。



「土産はなにがいいだろうか」

「いらないです。リュークが無事に帰ることが、私のお土産になりますから」

「相変わらず欲の少ないヤツだな。少しくらいワガママ言ってみろ」

「うぅぅぅぅ…。なら、リュークが目で見たもの全部」

「はははっ、それはムリだな」

「ワガママ言いましたよ?」



無事に帰ってこよう。