皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

グッと飲み干したワイン。



グラスにもう一杯足すと、アリスが湯上りでほんのりピンクの頬を引き連れてやって来た。



「わ、私にもください…」

「珍しいな」

「緊張、してますので…」

「ん」



差し出したワインをちびちびと飲み始めたアリスは、さっきよりも顔が赤い。



コレに手を出していいのだろうか。



壊れてしまわないだろうか。



泣かせたい。



でも、泣かせたくはない。



こんなにも葛藤するものなのか…。



好きな相手というのは、どこまでも俺を未知の感情に誘うのだな…。



「アリス」

「は、はい…?」

「ムリしてほしくはない。今までも何度も我慢できたし、別に今日じゃなくても構わないと思っている」

「リューク…」

「正直、怖いのだ。相手がアリスだから、こんなにも怖い」



なにがと聞かれたら、答えるのは難しい。



わからないのだ。



いろんなことが頭をグルグルと周り、正解に辿り着けない。