皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

あたふたする姿が、演技とは思えない。



持っていたグラスを差し出し、無言で勧めると、そっと細い指がグラスを持つ。



「い、いただきます…」



なんの躊躇もないっ‼︎



咄嗟にグラスに手で蓋をする。



「えっ?」

「冗談だよ。さて、少し仕事を思い出してしまってね。すまないが戻らせてもらう」

「そう、なのですか…?」

「また来ても?」

「お、お待ちしております…」



カーッと赤くなった顔と耳。



これは演技か?



グラスと酒瓶を手にして立ち上がった。



「少し飲みたいのでもらっておく。おやすみ、良い夢を」

「はい、良い夢を…」



真っ赤だった。



本気で照れていた?



わからない。



笑って毒を盛れるような女かもしれない。



「いかがしました?後宮でお休みでは?」

「これ、鑑定に頼む」

「なっ⁉︎アリス様の元へ行かれたのですよね⁉︎」

「あぁ…。微量だ。問題ない」

「犯人が明確ならばすぐに対処すべきです」

「それはわからない。俺が差し出したものを、なんの躊躇もなく飲もうとした」

「では…他のものの仕業ですかね…」



なんとも言えないのだ。



俺を殺して自分も死ぬと考えていたのかもしれない。



困ったな…。



どうするべきか。