皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

連れてきた女は、震えながら紅茶を飲んでいた。



「ジェード様、働くそうです」

「そうか。話をさせてくれ」

「かしこまりました。お部屋の準備をしてまいります」



厨房の片隅で震える子ネコのようだと思った。



目を合わせない。



「名前はあるのか?」

「ミア…です…」

「年は18か」

「はい…」

「先ほど見たものを口外することを禁ずる。他言無用、それを守れないならば、ここへ置いておくことはできない」

「言い、ませんっ…」

「誰かに話したら…どうなるかわかるな?」

「はいっ」

「それを守れるならば、お前…ミアは自由だ。ここをやめて他で働いてもいい。誰にもミアを縛る権利はないのだから」



そう言えば、ジワッと涙目になる。



ポロポロと溢れる涙が宝石のようだと思った。



殿下に毒されているのか、私は…。



「ゆっくり休むといい」

「あのっ‼︎」

「何か質問か?」

「いえっ、あのっ…ありがとう、ございました…。ヒーロー…みたいでした」

「…………そんなこと言われたのは初めてだな」

「本当に、ヒーローみたいでした…」



最後に笑ったミアの頭を撫で、今日のことは忘れて眠りについた。