皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

【ジェード】



私は幼少期、陛下に拾われたハーフ獣人だ。



獣人は一人と決めたら、その相手に忠誠を誓い、死ぬまで使える。



だが、私はハーフなので。



使える相手は、自分で選んで自分で判断する。



初めは陛下に捧げようと決めていたこの身は、今は息子のフィンリューク皇子に捧げると決めた。



とても不器用で、人を信じることを知らない俺の主人。



そんな主人が、最近とても楽しそうにする時間がある。



「ジェード、城の中に拷問部屋ってあったよな?」

「ありますよ。どうしたのです?誰か怪しい者でも?喜んで拷問いたしますが」

「いやぁ、アリスをあそこに連れてったらどんな顔するのかと思うと…ムラムラするのだ」



いつからこんな変態な思想の持ち主になったのか…。



残酷な部分も持ち合わせている人ではあった。



それは他の弟たちにはない、上に立つ者に必要な残酷さ。



だから、次の皇帝はあなたなのだと、私は勝手に慕っているのだ。