皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

胸いっぱいというやつかもしれない。



とにかく、満たされた。



「それ、いいな…」

「はい…?」

「名前呼ばれるの、いい」

「恥ずかしいのですよ…?」

「リュークでいい。そう呼んでくれ」

「リューク…?」

「…………もうムリ。やめる…」

「なぜ、ですか…?」

「違う、勘違いするな。心臓が壊れそうなのだ…」



アリスの手を俺の胸に当てれば、不安そうな顔が一気に笑顔になった。



最近は毎回こうなるな…。



抱きたいと思うのに、もったいないとか、大事にしたいとか。



俺の方が持たない…。



「好き、です…、リューク」

「は…?」

「好きなのだと、気づいたのです…。意地悪だし、私をいじめて喜ぶ変態ですけど…気づけば好きに…なっていたのです…」



体がおかしくなりそうだ。



胸だけじゃなく、喉や頭。



血液が身体中をすごい速度で巡っているような。



細胞が、全てが歓喜に震える…。