皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

うまいのだな。



さすがアリスというか、やらされていたのだろうが、いい顔をしている。



これは好きなことなのか。



きっと、本人は気づいていないがな。



「うまいな」

「そうですか?殿下は?」

「俺はそこまで弾けないと思うが…」

「なら簡単な曲、どうぞ‼︎」



少し左にずれたアリスの隣に座り、数年ぶりのピアノ。



母上より父上の方がこういうことは得意だったなぁ…。



俺はアリスより確実にヘタクソだ。



「あれ?ここ、どんなだったか…」

「続きはこうですよ」



とても穏やかな時間。



弾き終えて、得意げにこちらを見つめるアリスにキスをする。



得意げだった顔が、恥ずかしそうに赤く染まり、視線を外されてしまった。



「また聴かせてくれ」

「は、はいっ‼︎」



まるで温室で咲く花。



こんな風に、俺に笑顔を向けてくれるようになったのだな…。




欲しかったものが手に入ったような、満足感に似た感情が湧き上がった。