熱くなった顔を押さえながら、来た道を思い出してやっと殿下の部屋にたどり着いた時。



ドアを開けようとした瞬間、首がヒヤッとした。



「お前、誰?」



えっ…?



この冷たさは…刃物…?



一瞬にして顔が冷たくなっていく。



頭が回らない。



今、私に何が起こっているの?



「兄上の部屋に、何の用?」

「あのっ…アレクサンダー…様ですか…?」

「違うけど。で?誰?」

「妻のっ、アリス…です…」

「えっ?本当に結婚したの?」

「は、はいっ…」

「ごめんごめん、ちょっと遊んでみただけー」



ひんやりした物がなくなると、相当怖かったのか腰が抜けてへたり込んだ。



「何を騒いでっ…レオっ‼︎」

「久しぶりー、兄上」

「って、アリス⁉︎お前…アリスに何をした…」

「兄上が結婚したって聞いたから、本当かなーって。どんな魔法の使い手かと思ったら、反撃されないんだもん」

「ふざけるなっ‼︎」

「ぐはっ‼︎」



殿下の右ストレートが、キレイに炸裂してました。