皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした

ジェードに愚痴をこぼし、少し落ち着いてから戻ると、寄ってきたのは宰相のアレン。



「頭は冷えましたか?殿下」

「冷えたら、余計腹が立った…」

「陛下も今頃後悔してますよ、書類を投げつけたこと」

「夜に酒を飲みたいと父上に伝えてくれ」

「わかりました」



長かった会議が終わり、部屋に戻って風呂に入る。



シャワーで済ますことが多く、疲れた時は湯船に浸かる。



風呂は好きだ。



自分を見つめ直し、考えがまとまることがよくある。



今日も湯船につかり、着替えてから父上の書斎へ向かった。



「失礼します…」

「飲みたいのだろう?」

「えぇ」

「座れ」



言い合った後、こうしてふたりでよく飲む。



渡されたグラスを手にすると、わしゃわしゃっと頭を撫でられた。



「悪くはなかった」

「当たり前です…」

「爪が甘いのだ、リュークは」

「父上のバカ…」

「はははっ、楽しかったぞ。物に当たったのは悪かった。久しぶりに頭に血が上ってしまってな」



こうして、子ども扱いされて、甘やかされる。